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さて、夏になるとビールが飲みたくなる人も多いのではないでしょうか?
夏にビアガーデンなどで、みんながごくごくビールを飲む姿はとても美味しそうに見えます。

そんな今日は、一流のビール売り子が体現する商売の鉄則についてご紹介したいと思います!

プロ野球がシーズンの本格的な戦いに入ってくる夏。
そんな野球選手と同じように、野球場で奮闘する女の子達がいます。
それがビールの売り子さんです。正しくは、「立売スタッフ」という職業名で、プロ野球シーズンだけの季節限定のアルバイトです。

「ビール、いかかですか~?」

元気の良い声と共に球場の客席を上へ下と歩き回る彼女達。
艶やかな服装、屈託のない笑顔、キビキビとした対応。
一見すると、華やかな職業、仕事のように見えます。
しかしそんな彼女達は、現場の3つの苦労と戦っています。

①背負うだけでも一苦労
  まずは、背中に背負うビールサーバー。
 その重さは、15~18kgとも言われています。
  スタジアムの通路を往復するだけで精一杯だそうです。

②急勾配なスタジアムの階段
  野球場には結構な角度の階段が上から下まであります。
  お客さんから手が上がれば小走りに駆け上がり、
  タンクのビールがなくなれば取り替えにバックヤードへ帰ります。
  修行僧のように何度も何度も昇り降りするのです。

③天候
  2月から始まるオープン戦の頃の寒い風や、  梅雨時の突然の土砂降り、夏の直射日光―。
 彼女達は、暑くても寒くても笑顔でいなくてはならないのです。

そんな過酷な販売現場でも、ビール売り子さんのアルバイトは若い女性に人気の職業なのだそうです。
その理由の1つとして、歩合制の給与システムがあります。

初級者は1日50~80杯の100杯前後、これが平均的な売り子さんの売る数です。
結果、1日の報酬は、9000円前後。時給にすると、2,000~3,000円となります。
これが、各球場に数人は存在するトップクラスになると、200~300杯売るので、1日に2~3万円は稼げます。
時給にすると5,000~8,000円で、日収2.5万円とすれば、月収30万円にもなるのです!
時給だと大企業の役員クラスと遜色ない金額であり、年収で比較すると、企業の主任~課長と同じレベルなのです。

また、その仕事は、単に注文を受けてビールを注いで終わりではなく、代金の授受、お客さんとの何気ない会話、ビールの補充、傾斜のきつい階段を何度も登り降りするような時間なども含めて、1杯当たり1~2分というスパンで売っているのです。
そこには効果的かつ効率的な商売の仕掛けが必要となります。

ではその仕掛けは何でしょうか?
時給8000円を稼ぐ売り子さんには、実は売る為の戦略が徹底されていました。

①魚の目、木の目、鷹の目
  彼女達は、いくつもの目を持っています。近くにいる目の前のお客さん、先ほど買ってくれた少し離れた場所にいるお客さん、お代わりを頼みそうな遠くのお客さん。
  お客さんに対する目線、目の届き場所を適宜変え、ビールを頼むお客さんを逃さずキャッチしています。
  その為には、試合の展開を読んだり、買ってくれたお客さんを覚えていたり、ビールを飲むペースを把握していることが必要なのです。

②自分の“しるし”=特徴を魅せろ
  トップの売り子さんは、実に様々な、個性的な“しるし”を用いています。
例えば…

 ・髪飾りに、花のモチーフやキャラクターを付ける
 ・名札に、手描きのPOPやイラストを加えて、特徴づける
 ・首に巻くタオルを球団カラーと合わせる、巻き方を目立たせる

  と、実に様々な方法を各自でアレンジしているのです。
 自分という売り子を覚えてもらい、また買ってもらうことを考えています。

③販売効率を高めるドミナント戦略
 トップクラスの売り子さんは、あまり広く歩き回らず、
  自分からまた多く買ってくれるお客さんを絞って固めていくのだそうです。
 あるプロ野球ファンが最初1回ビールを買うとすると、
 その際に、周囲のお客さんにも合 わせて宣伝・営業。
 「今日は○○チームが勝つといいですね!」と元気よく一声添え、
 「今、ビールのタンクを替えてきたばかりだから、新鮮ですよ!」
 と大きな声で勢いを伝えます。

 更に、②で紹介した覚えてもらう為の特徴を必ず伝えて、
 買ってもらったお客だけでなく、周囲5メートル四方のお客を、
 自分のファンエリアにしていくのだそうです。
 こうすることで、「またあの娘から買いたい」「私も!」「じゃあ私も!」という
 価値の連鎖が起こっていくのだそうです。

あちこちのお客さんを刈り取るのではなく、あるエリアを集中的にファンにしていく方法は、まさにコンビニエンスストアの出店政策、ドミナント戦略そのままではないでしょうか。

「売れっ子」を左右する要素、それは、
「常連客=リピーターがどれだけついているか」にあることがよく分かりました。
お客さんが応援しながら、ビール売り子を育てている…

それは逆に言えば、「常連客に育ててもらっている」ことであり、どんな商売にも共通する鉄則とも言えそうですね。

時給8000円を達成することは並大抵ではありませんが、トップ売り子さん達が実践している方法は、私達のビジネスや社会人生活においても役立つのではないでしょうか。
野球場に行く機会があった時は、そんなことも考えながら、ビールを楽しみたいですね!

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