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福井県福井市に本社を置く三谷セキサンは、2015年7月24日、福井大と共同開発している地中熱利用技術である「住宅用コンクリート熱交換杭(くい)」の見学会をおこないました。場所は、試験施工もしている福井市内の保育園です。「H型杭」という地盤を補強する杭の凹み部分に、熱交換器の役割を果たすポリエチレン管をU字に通して埋設します。杭と熱交換器の同時施工により掘削費を大幅に縮減し、地中熱冷暖房システムの普及につなげていきます。
国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の採択を受けて昨年度から始めた研究開発で、期間は2017年3月までとなっています。1年を通し温度が約16度で安定している地中熱を利用しており、ポリエチレン管に循環させる不凍液が冬は温められ、夏は冷やされるため、園内の床暖房や冷房に利用することができます。
地中熱冷暖房システムは室外機に霜や氷がつかず、冬の暖房能力低下を招かないなど、一般的な空気熱システムに比べ効率よく冷暖房ができます。ただ、地盤が複雑な国内では掘削費が高いなどの理由から普及が進んでいないのが現状です。杭と熱交換器を一体化した「熱交換杭」を埋設する今回の技術は、別々に掘削する従来の工法よりコストが3分の1程度に抑えられるといいます。
環境に優しくコストも低いため、有用的な方法と言えるでしょう。
試験施工は建設業者や設計士、県職員の方々に公開し、今後の効果や課題などを検証してきます。
この他にも三谷セキサンと福井大は、同園で排熱を給湯などに利用する蓄熱システムや、地下水循環利用技術の開発を行います。茨城県の三谷セキサン茨城工場研究所では、大型ビル用の基礎杭を利用した熱交換杭の開発にも取り組んでいます。

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